2009GW 至仏山・平ヶ岳・景鶴山



コース概略:


このコース、以前から気にはなっていた。ただ、基本的に入れるのは一年でゴールデンウィークの数日間のみ、オマケに人が入らない奥深さは天候によって難易度が一変するということでなかなか チャンスを掴めずにいた。昨年GPSを入手したし、道具は一応そろった。残るは天気だが、 予報はすこぶるというか確実に晴天が続くということで勇んで出かけた。

4/29:鳩待峠 -> 至仏山 -> 岳ヶ倉山 -> (天泊)

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悪沢岳分岐手前からの至仏山(2009/04/29 9:01:44)

八王子から中央道・圏央道・関越道と高速を繋いで沼田から鳩待峠。 鳩待峠はGW時のみ駐車可だが駐車料金は初日2500円、以降は1000円と異常に高い! 最初は富士見下からアヤメ平を越えて鳩待峠も考えたが、高速代が1000円だったし、ここはグット我慢。

駐車場で用意をしているとじゅんさんにバッタリ。そして、以前無雪期の至仏山から丹後山まで縦走したことがあるということを聞いた。今年の雪はかなり少なく、既に沢沿いは危険であるので至仏山を越えて行くことに決めてはいた。ただ、WEB等で探しても情報が無く、実はチョット心配だったのが少し気が楽になった。

沢沿いのコースはsanaeさんの記録を参照。

DSCF7891.JPG 分岐を過ぎ小至仏に向かう(2009/04/29 9:54:19)

雪は締まっていてツボ足でも大丈夫。といっても、トラバースするところもあり、最初からアイゼンは装着。

途中、我々と同じコースを行くという3人(女性2人・男性1人)組と話をする。全員長靴で、さらに荷物が非常にコンパクト。かなり雪山慣れた感じでグングン先に行き、あっという間に見えなくなった。最終日に再会して、その時分かったのだが、新潟の方々で地元の山を色々歩かれているらしい。

DSCF7892.JPG 小至仏直下のトラバース(2009/04/29 10:09:52)

前を行くのは山スキーヤー。山スキーの轍で出来たトラバース道を慎重に辿る。 カリカリのアイスバーンだと滑落したら面倒な感じだが、そうではないので気は楽。しかし、高度感はある。

DSCF7893.JPG 小至仏を越え、至仏の登り(2009/04/29 10:39:21)

ここまで来ると至仏の広大な斜面が広がる。すでに、この斜面を滑り降りているスキーヤーがチラホラ。しかし、今年は雪が少なく川上川は渡れないとのこと。皆左に曲がり、カラ沢上部から山の鼻を目指しているようだ。

至仏山頂(2228.1m)(2009/04/29 10:47:04)

山頂はスキーヤーと登山者でにぎわっていた。無風・晴天 で360度遮るものが無く、絶景を暫し楽しむ。

DSCF7897.JPG 平ヶ岳(2139.6m)に向かって一歩を踏み出す(2009/04/29 11:08:19)

殆どの登山者はここから引き返すか山の鼻に向かって降りる。平ヶ岳が遥中央に見える。遠すぎるゴールが現実になる瞬間。そして道筋に見渡す限り人影はなく(実際には例の3人組みが先行しているのだけれど...)、緊張が走る。こういう場合、先が見えないほうが多分気が楽かもしれない。

DSCF7901.JPG 見下ろす尾瀬ヶ原と燧ヶ岳(2009/04/29 11:14:09)

最初はかなりの斜面を下る。下はムジナ沢源頭部。左に景鶴山と与作岳。手前はカッパ山、さらに手前が八海山。

この先で這松帯に入ると同時に踏み抜きに苦しむことになる。途中で男女のペアを追い抜く。先行していたのは例の3人と、この二人らしい。二人は踏み抜きでかなり消耗したようで、岳ヶ倉山手前で幕営となる。

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岳ヶ倉山の登りと背後の至仏山(2009/04/29 14:19:09)

遠目にははっきりしない岳ヶ倉山だが上り始めると意外にキツイ。稜線の雪は締まっていて崩れることはないと思われるが、視界が悪いと神経を使いそうな大小の雪庇が右に出てくる。

それにしても雪の上にいるはずなのに暑い!
既に手持ちの水は飲みきってしまった。 もちろん周りは雪だらけ、溶かせば容易に手に入るわけだが面倒なので、なるべく 埃の無いところを固めた雪おにぎりをかじりながら進む。

DSCF7907.JPG 岳ヶ倉山先の鞍部で幕営(2009/04/29 15:32:27)

岳ヶ倉山(1826.1)の先、1818のピークを越えた所で15時近くになった。 先のススケ(スズケ)峰(1953)の前後にも適当な幕営場所がありそうだが、 ススケ峰を越えるとなると幕営時間は16時前後となり若干遅い。ススケ峰手前なら 標高の低いほうが良いだろうということで、ここで幕営とする。 明日は平ヶ岳と大白沢山綾線に交わる場所(分岐点)にテント設営後、軽荷で平ヶ岳を 往復することにする。

テント内で雪を溶かし夕飯と明日の水を作成。マッタリしていると棒きれを杖に したおじさん(以後「棒きれおじさん」)が幕営仲間に加わる。明日は赤倉岳 に寄り、最終は丹後山から十字峡に抜ける予定と言う。赤倉岳と聞いても直ぐにはわからなかったが、地図を見るとススケ峰手前の左に確かにある。これから先数日は確実に晴天だし、そういう風にウロウロしながら平ヶ岳から十字峡に抜けるという工程は非常に魅力的! 車に頼りきりで公共交通機関を知らない自分が情けない...

4/30:ススケ峰 -> 平ヶ岳 -> (天泊)

DSCF7910.JPG ススケ峰手前の登り(2009/04/30 6:30:57)

雪の上とはいえ、冷え込むことも無く快適に眠ることが出来た。 朝は遅めの5時前に起床。棒きれおじさんと若干話をしたら、先にススケ峰を目指して出発。 ススケ峰はこのピークを越えた先。前日の3人組の踏み跡を辿る。踏み跡以外にスキーの跡 (一人か二人?)もある。スキー跡は平ヶ岳・景鶴山間にもあり、見ることは無かったが スキーヤーが既に足跡を残している。

DSCF7915.JPG ススケ峰を越えた所で至仏山を振り返る(2009/04/30 7:28:26)

ススケ峰はなかなかの登り、やはり疲れた昨日より元気な朝一に登るのが正解のようだ。 朝の雪面は固く締まっておりアイゼンがよく刺って快適に歩ける。 広い雪原はただただ気持ち良いの一言!

DSCF7922.JPG 平ヶ岳が大分近づいてきた(2009/04/30 7:38:56)

だだっ広い雪原を分岐点に向って進む。 とにかく左右どちらを向いても白い山々...、暑さも忘れてただ景色に見とれながら 彷徨い歩く。このような天気を与えてくれた自然に感謝しながら...。逆に、もしここで 悪天に見舞われたら大変だろう。そうならないことは分かってはいるのに時折ブルっと くる。眼前の景色が余りに非日常的なので思わず感覚も現実から離れてしまう。

平ヶ岳の先に連なる越後の山々(2009/04/30 7:39:00)
例のひょうひょうとした棒きれおじさんはあの山々を越えていくのかと思うと、 うらやましい気持ちと同時に、安全に下山できることを祈らずにはいられない。

DSCF7931.JPG 分岐点から大白沢山に曲がった樹林帯にテント設営(2009/04/30 10:30:57)

テントを設営したらマット・シュラフや食器類を放り込む。ペッタンコになった ザックを背負って平ヶ岳を目指す。こんもりとしたお椀を伏せたような平ヶ岳の巨体 がいよいよ大きく迫ってきた。雪は平ヶ岳に近付くに従って深くそして柔らかくなってきた。 壺足では潜るようになったのでワカンを装着した。

DSCF7934.JPG 二人組に追いつく(2009/04/30 10:48:17)

テントを設営しているときに追い抜いて行った二人組が見えてきた。 昨日、岳ヶ倉山に届かなかったとはいえ、今日は何と、昨日のテント場から 平ヶ岳往復だそうだ! つまり、岳ヶ倉山とススケ峰を2度も越えるわけで、 軽荷とはいえかなりの体力!!

明日、至仏を登り返すのは困難なので、スキー跡を辿りながら 斜面をトラバースして山の鼻を目指すらしい。ただ、あまり早く 下降すると沢があって危険なのでムジナ沢の上部を越えていくとのこと。

DSCF7938.JPG 平ヶ岳山頂直下の急騰(2009/04/30 11:08:12)

遠くからはなだらかに見える平ヶ岳も山頂付近は相当な急斜面を登ることになる。ここはスノーシュー が便利そうだ。前の二人はスノーシューで快適(そう)に登っている。

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平ヶ岳山頂(2009/04/30 11:21:18)

だだっ広い平ヶ岳山頂にはお昼前に到着。実際の山頂標識はこの少し先になるが 殆ど雪に埋まって何だかわからないので、とりあえずここで記念写真。

DSCF7941.JPG 平ヶ岳山頂からの景色(2009/04/30 11:21:50)

後ろは中ノ岳や越後駒ヶ岳。 ここで、どこまでも続く白銀の峰々を前にしてお昼ごはんにする。 先の二人は行動食をほおばると同時に元来た道を戻り始めた。 これからいくつかのアップダウンを越え、さらにススケ峰と岳ヶ倉山を再度越えなければならないのでゆっくりする暇は無いようだ。 後でわかったことだが、例の3人組は昨日我々と同じ分岐点付近(大白沢山寄り?)に幕営し、今日は平ヶ岳の先まで行ったらしい。

5/1 :景鶴山 -> 与作岳 -> 東電小屋 -> 尾瀬ヶ原 -> 山の鼻 -> 鳩待峠

DSCF7949.JPG 静寂の山中泊2日目(2009/04/30 18:01:25)

例の如く明日の水を作成し、夕食後は持ってきたブランデーをチビチビやりながら 夕暮れを待つ。これまた至福の時。もちろん、明日も晴天であることを確信しているので...

DSCF7952.JPG 景鶴山(2004m)(2009/05/01 7:27:41)

今朝も遅めの5時過ぎに起床。 スキーのトレースに従って、大白沢山の左を巻いて景鶴山に向かう。途中かなり前の雪崩れの跡を通過した。今は大丈夫だが、やわらかい雪が多い時は大白沢山の右を越していくほうが安全かもしれない。

後で聞いたところでは先行の3人組は大白沢山とカッパ山も登ったようだ。 ただ、大白沢山に登る踏み跡は見つからなかったので、このときは多分カッパ山方面だったのかもしれない。山を越えていくようなトレースは無かった。

大白沢山の先まで行くと景鶴山の険しい山容がはっきりしてくる。

DSCF7954.JPG 景鶴山山頂直下(2009/05/01 7:49:55)

どう見ても、ここから直登するのは無理な気がする。 辺りを見回しても踏み跡が無いので、とにかく左にトラーバスして適当なところから右に山頂目指して直登することにした。

DSCF7962.JPG 景鶴山から望む尾瀬ヶ原(2009/05/01 8:57:43)

左上に尾瀬沼も見える。

景鶴山は同じような高さの頂が幾つかある。前もって調べた情報ではその内の一つに山名版があるはずだった。相当急な斜面を枝を掻き分け掻き分けトラバースしてから適当な頂を目指して右に直登しては山名版を探し、見つからなければまた下がってトラバース・直登を繰り返す。だが、一番高そうな頂にも標識らしいものは見つからない。そうこうするうちに棒切れおじさんが棒を持って登場。今日はこっちに寄ってから明日平ヶ岳を越すらしい。山名版が無いことが分かると、なんとザックから自作標識を取り出して記念写真をパチリ。なんとも用意の良いことで...

あちらが山頂?(2009/05/01 8:57:48)

こちらがバタバタしているところに隣の頂に東電小屋方面から来た人がやってきた。あちらからピストンする人は結構いるようだ。向こうでも暫く探してから雪に埋もれた標識を発見。 どうやら一番向こうが山頂か? 見た目はこちらの方が確実に高そうだけど...

DSCF7965.JPG 振り返って見る景鶴山(2009/05/01 9:24:04)

狭い山頂で景色を楽しんだら東電小屋方向に下る。 しかし、最初の数歩がとんでもないナイフリッジでテント装備の重荷だとかなりの恐怖!
その時の雪の状態によるだろうが、足一つ分しか置けない雪が何とも頼りない。 左ならまだしも、右に落ちたらただでは済まない(迷わずザックの中のロープを出せばよかったと 後で後悔)。軽荷で東電小屋方向から来た人も口々に「怖かった!」の連発!

この先で「K林さん?」と声をかけられる。なんと私のWebページ等を見て、もしやと思って 声をかけたとのこと。ビックリ!

景鶴山から平ヶ岳まで(2009/05/01 9:56:39)

尾瀬ヶ原から望む姿と違いスマートな円錐形の景鶴山。右端の丸い山は平ヶ岳。

DSCF7971.JPG 与作岳(2009/05/01 10:00:32)

与作岳山頂は広い雪野原。奥に見えるのは会津駒ケ岳。 まだ10時、尾瀬ヶ原を一望しながらゆっくりと休憩する。

この後右に回りこむようにして尾根沿いに下る。もう殆ど尾瀬ヶ原というところで、 最後のピーク(笹山)をやはり右沿いに越えると東電小屋の真後ろに下りる。

DSCF7982.JPG 尾瀬ヶ原から見る景鶴山(2009/05/01 12:28:17)

無人の東電小屋前でゆっくりとお昼ご飯。食べたら山の鼻を目指す。 ヨッピ橋は横板が外されており鉄骨の上をつたって渡る。

中央はお馴染み景鶴山。黒いところは岩、絶壁。

DSCF7984.JPG 至仏山と誰もいない尾瀬ヶ原(2009/05/01 12:42:20)

尾瀬には既に何度も来ているが、こんな景色は初めてだ。 これこそ独り占め(いや、二人占めか...)。

DSCF7991.JPG 後は燧ケ岳(2009/05/01 13:11:46)

左のチョットした盛り上がりが東電小屋裏の笹山。 しかし、木道が見えないせいか、尾瀬ヶ原がこんなに広いとは!

DSCF7993.JPG 最後にもう一度至仏山(2009/05/01 13:22:40)

最初は山の鼻か景鶴山周辺でもう一泊してもいいかなと思っていた。 しかし、この景色をズット観ながら山の鼻まで歩いているうちに、あの右に連なる稜線2日間の 印象が薄まってしまうような気がした。我ながら「らしくない」と思いながらも 山の鼻でゆっくり休憩したら鳩待峠に戻り、深夜を待ってゆっくりと関越道から帰途に着く。


雑感

このコース、今年のように(最短コースの)沢沿いを通れないとなると気候の変化に一層気をつけなければならないと思う。なぜなら、エスケープすることが困難だから(悪天になったら安全な場所にテントを張りジックリ回復するまで待つのがベストかも)。 天気が良ければ全く問題ないが見通しが悪い時のため、尾根が入り組んでいるので、 GPSが必須かもしれない。今回、GPSは携行していたが晴天・無風の日が続いたので地点の確認程度にしか出番は無かった(山の鼻から鳩待峠に戻るときに尾根をひとつ間違えたが直ぐにGPSで復帰できたのはご愛敬...)。

それにしても、ここ数日の晴天はまさに天からの贈り物(感謝...)!